趙文相
「あの世ではまさか朝鮮人とか,日本人とかいふ区別はないでしょうね」と金子の詠歎声。浮世のはかなき時間に何故相反し,相憎まねばならないのだろう。日本人も朝鮮人もないものだ。皆東洋人じゃないか。いや西洋人だって同じだ。ああ明日は朗らかに行こう。
やっぱり死にたくない。碁を打ったのが遺憾だった。碁を打ったすぐ後はふだんのような気持になってしまう。碁を打っている間は夢中だったのが止めた瞬間は以前の死ぬと決まらん間の気持だ…。隣の部屋(一番列車)からいびきが聞えてくる。俺も心が再び安らぐ。
絶望の深淵には苦痛はない。そもそも希望は常に苦痛と不安を伴う。この俗世のすべてのことに絶望した時はじめて人間は安心する。決して淋しくない。恐しくもない。ただ空ろだ,空虚な中に涼風が清々しく吹く。
しかしたとへ霊魂でもこの世の何処かに漂ひ度い。それが出来なければ誰かの思ひ出の中にでも残りたい。…京城北郊、北漢山頂、白雲台の岸壁に刻み残した俺の名前は未だ残ってゐるだろうか。
何故もう少しく生きなかったか。たとへ愚かでも不幸でも自分のものといった生活をしてゐたらよかったものを、知識がなんだ、思想がなんだ、少なくとも自分のそれは殆ど他人からの借物だった。しかもそれを自分のものとばかり思ってゐたとは何と哀れなる哉。
友よ、弟よ、己の智恵で己の思想をもたれよ。今自分は自分の死を前にして自分のものの殆どないのにあきれてゐる。もう一ぺん古里のことを考えて見たがまとまらない。いや何かしら肉親との絆がだんだん解かれて行くみたいだ。
流石にじっとしてゐたくない。狭い房の中をあっちこっちとぶらつく。雨がまだ降っている。残る人達の“蛍の光”有りがたい、有りがたい。
九時の号鐘。のびやかにゆったりと鐘が鳴る。
父よ母よ有りがとうございました。姉よ弟よ幸あれかし。
来た。いよいよらしい。
これでこの記を閉づ。
この世よ幸あれ。
死刑直前の手記・趙文相(1922~1947.2.25.26세)
今日はあなたが70年前に亡くなった日, 次の生に私たちを忘れないで会いましょう。あなたを愛しています. 효전 ㅠㅠ
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